建築家インタビュー Vol.04 小笠原 絵理(間工作舎/一級建築士事務所)

「家づくりフォーラム」に参加している建築家たちを、京都造形芸術大学の学生たちが訪問しインタヴューを行ないます。
建築家の生き生きとした言葉で彼らの思いや活動を語っていただいています。

インタヴュアー/池田彩恵、北村依里香、竹内綾子、中井芙美、横山カレン(京都造形芸術大学環境デザイン学科3回生)

─学生:今見せていただいている説明用パネルとかホームページにも載っていたんですけど、手描きのイラストが目に付きます。そういうのはやっぱり、小笠原さんが自分で描いておられるんですか?

小笠原:私が描くこともあります。模型はね、形はわかっても、暮らしてるそのシーンというのはなかなか、一般の人たちにはわかりにくいのですが、このスケッチだと、あ、こんな風に暮らしてるんだってわかる。

─学生:空間に入り込める?

小笠原:そう。

─学生:住宅の他にも店舗だったり、家の手前で絵本屋さんをされてる建築とかあったんですけど、店舗の方で心がけてるってことっていうのはありますか?

小笠原:住宅で考えてることとあんまり変わらない。ただ、住宅はその人にとっての器という話をしましたが、店舗もお施主さんにとっての器という考え方がひとつある。その人たちの居場所。けれど店舗はいつもと違う時間をそこに過ごしに来られるということを考えると、背景というより、アピールできるというか、ここに来たらこういう風に楽しめるなっていう、ちょっと前に出せるような要素を何か加えていくようには努めています。ベースは居場所ということでは変わりなく、そのオーナーさんたちの居場所であるということ。ただ、器という背景が、住宅とはちょっと変わっても良んじゃないかと思うんです。また、幼稚園は、子どもたちの居場所ということからいくと住宅と変わらないと思う。スタッフと一緒に入園をして、体験をして、子どもたちの写真をいっぱい、ありのままの姿の写真を撮って、それをずーっと設計期間中は事務所に貼り出して、それを見ながら設計をしました。それは園長先生たちとはできるけど、子どもたちとコミュニケーションはなかなか言葉でもできないのでね。コミュニケーションはできないけど、様子は見ることができるので、観察をもとに設計をしていった。その園の考え方によって、幼稚園の出来上がりも全然変わるし。次は子どもたちの目線に立って設計するっていうのはどういうことなのか、っていうのがまだまだ課題というか、もっと色々試れるんじゃないかなあという風に思ってます。

観察すること、そして自分だったらどうかなとか、親の世代だったらどうかなとか、友達だったらどうかなとか、やっぱり自分が身近に考えられることで少しでも接点を見つけていって、自分にとって身近なものにしていきながらつくれればいいかなと。
今私がもう50歳なので、上の世代の人たちも、若い人たちの家もつくってるけども、30の時は、みんなお施主さんたちは歳が上なわけです。まだ結婚もしてなかったし、そうすると、初体験ばかりだよねぇ。背伸びして一生懸命つくるんだけど、理解できてない部分がいっぱいある。だからそうなった時は、自分が最大限できることをするしかないので、やっぱり相手をまず知る。
年齢ごとに考えも変わって、できることも、一緒につくる相手も変わっていける仕事だと思うんですね。

─学生:最後に家づくりフォーラム通信を見て下さる人にメッセージを。

小笠原:まずひとつは、一緒に家づくりできる、あ、この人とやっていきたいなって思う人と出会うということがすごい大事かなと思うんです。家はやっぱり自分にとっての拠り所だと思うので、一緒に色んな話ができて、やっぱり自分がありのままで、すっぴんで向き合える人と出会って家づくりできれば幸せじゃないかなあと思いますね。それは設計者である私たちも同じこと。一生の付き合いができる相手と、お施主さんと、出会うこと自体がやはりすごく大事だと思うんです。そうやって出会ったところで、一緒に家がつくっていけて、その人たちや自分たちにとって大事な居場所になるんじゃないかなという風に思います。

─学生:ありがとうございます。

(2011年6月6日 西陣の家にて収録)

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小笠原 絵理(おがさわらえり)

□プロフィール
 1961年 熊本県生まれ。1985年 奈良女子大学家政学部住居学科卒業。
 大和ハウス工業研究開発部、武市義雄/REA建築工房、木村博昭/Ks architectsを経て、
 1992年間工作舎/一級建築士事務所を開設。
 現在京都工芸繊維大学・非常勤講師。

□おもな受賞

 南阿蘇の家:JIA熊本住宅賞受賞。
 錦綾幼稚園:第2回JIA関西建築家新人賞、平成19年日本建築士会連合会優秀賞、
 2008年JIDビエンナーレ大賞受賞ほか。

連絡先

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